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2010.05.23

双子ミステリー

Imgp0469_2 双子の子育てでひとつ、非常に悩んでいることがあった。

 それは、子供たちをお風呂に入れる作業。普段は妻に任せっきりだが、たまの週末、時間が出来ると妻に変わって、子供たちを風呂に入れてやる。妻を休ませてやりたいし、自分もそうやって子供たちとスキンシップをとりたいから。

 でも、仕事が忙しかったりして、結局1〜2週に一度入れてやるのがギリである。まずは、自分が風呂に入って体をキレイにしてから湯船に入る。続いて、裸の長男を受けとって全身を洗ってやってから一緒に湯船に入る。続いて、長女、という段取りで、だいたい合計で60〜90分の作業になる。

 そんなお風呂入れ作業が、ここ数回、私にとって非常に頭の痛い作業になっていた。作業自体はそれほどしんどい作業ではない。指の指紋がフヤフヤになる以外、苦痛なことはほとんどない。問題は別の所にあった。最初の1〜2度は比較的順調だった。ところが、ある日を境に理由はわからないが、私が彼らを風呂場で受けとった瞬間から、彼らが激しく泣くようになったのだ。

 泣くなんてもんじゃない、絶叫である。夜道でいきなり暴漢に襲われそうになった!それぐらいの悲痛さで、恐怖に顔を歪ませながら、暴れる。泣き叫ぶ。狭い風呂、至近距離で彼らの金切り声を聞くのは、なかなかに厳しいものがある。私はこれを「絶叫風呂」と呼んだ。それぐらいに過酷な60分間だった。

 とにかく原因がわからない。最初の数回はなんの問題もなくやれていたはずだ。ところがある日から、二人の子供たちそれぞれが、打ち合わせをしたわけでもないのに、私に抱かれながら大絶叫大会を繰り広げた。

 入れ方に問題があるのか?しかし、自分では妻と同じ方法で風呂に入れてやっているつもりである。いろいろ試行錯誤してみたが、結局、無駄だった。彼らは私の顔を見ただけで泣き叫ぶ。風呂の入れ方が違うとかそういうレベルの問題じゃないようだ。

 妻からはリクエストが出た。とにかく慣れて欲しい。そうじゃないと、永遠にこの状況が続く。それは困るから。確かにそうだ。

 私は本当に悩んでいた。普段は、「かなり仲の良いパパと子供たち」ぐらいの関係性は築きつつある。ところが、風呂に入った時だけ、ビックリするほど泣き叫ばれてしまう。「殺される〜〜〜〜!!!!」と言わんばかりに、引きつった子供たちの顔。それを見ているだけでもテンションが下がる。

 そして昨日、一週間ぶりに私は彼らを風呂に入れることになった。その時、ふと一つのアイデアが浮かんだ。もしかしたら…?!そう思った私は、非常に面倒な作業だったが、その浮かんだばかりのアイデアを実行してみることにした。藁にもすがる想いだった。

 すると、子供たちに大きな変化が起こった。まず、この日最初に風呂に入った長男は、まったく泣かなかった。え?!続く長女も、泣かなかった。ピクリとも泣かなかった。さて、私はその時、いったい何をしたのか?

 メガネをかけて風呂に入ったのである。

 実はこれ、非常に面倒な作業である。レンズがお湯で曇る。汗でメガネがズレそうになる。日頃からメガネ好きな子供たちがパパのメガネを奪おうとしてどんどん手を伸ばしてくる。風呂場のメガネは、本当にろくなことがない!ところが、効果はてきめんだった。

 二人の子供は私に抱かれ、身体を洗われながら、それぞれ泣かないばかりか、時には笑顔さえ見せた。皆さんはすでに想像済みだと思うが、今回の事件の真相はこうだ。二人の子供はある日から「メガネを外したパパ」のことを「パパ」と認識できなくなってしまったのだ。

 確かに、二人の赤ん坊は日頃からそれぞれ、パパのメガネを隙あらば奪おうと狙っている。それほどのメガネ好きだ。そんな背景を考えると、確かに、メガネをしていないパパをパパと認識することが、彼らにとって非常に難しいことだったというのも、わからないではない。

 つまり!

 メガネをかけていない私は彼らに「全裸の知らないオッサン」に見えていたのだ。なぜか週に1度か2度、「全裸の知らないオッサン」に裸のまま抱きしめられ、その上に、体中をなぜ回されたりしたら…。そりゃ、泣くだろう。逃げ出したいと思うだろう。殺される〜〜〜!と思うだろう。すべて合点がいった。

 そんな訳で、何ヶ月にも渡って私を悩ませ続けたひとつの謎が昨日、急に解けた。

 ほっ。

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