ほんの偶然
先月「インサイド・ジョブ」という映画を見た。
アカデミー賞のドキュメンタリー長編賞をとった作品ということで、思いつきで見てみた。ちょうど、「ジョージ・ポットマンの平成史」なんて番組もやっているので、参考になるかな、と。最初に、この映画を簡単に説明すると、Yahoo!映画にこんな記述がある。
第83回アカデミー賞でドキュメンタリー長編賞を受賞した、2008年に起きた世界的経済危機の裏側に迫るドキュメンタリー。20兆ドルもの大金が消え、世界レベルの経済大暴落を引き起こした原因を金融業界関係者や政治家、ジャーナリストらへの取材を基に検証していく。本作のナレーションを担当するのは、『ボーン』シリーズのマット・デイモン。アメリカやアイスランド、フランスや中国にまで及んだ取材によって明らかになる衝撃の実態に言葉を失う。(引用)
さて、要するに、経済ドキュメンタリーである。ところが、これが面白い。正直、難点も多い。登場するのは第一級の証言者ばかりなのだが、地味なインタビュー映像ばかりが続く。証言内容にはそれなりに経済用語が多い上に、当然その日本語字幕が画面に表示される。おまけに、その証言者の名前と肩書きの日本語字幕も画面には表示される。
つまり、画面に信じられないほどの日本語字幕が並ぶ。そんな映画を二時間弱見続けるのはそれなりに疲れる。でも、面白い。先ほども書いたように、第一級の証言者ばかりを集めて、果たしてあの金融恐慌の犯人は誰だったか?上質なミステリーを見るような牽引力で作品が進むからだ。
さて、今回この映画について書きたかったのは、実は、このことではない。この映画を見ながら、もっとゾッとすることに私はぶつかった。リーマンショックに代表される世界緊急恐慌を起こした犯人たちは複数犯なのだが、誰もが同じ特徴を持っていた。
現在自分がやっている金融手法はまやかしに過ぎず、いつか破綻することを彼らは知っている。まもなく夢が覚めると同時に、世界は地獄に突き落とされる。そのことを彼らは知っている。だが、莫大なギャランティーに目がくらんだ彼らは、全世界をリスクだらけの地獄へと突き落とす。
それがバレないように、与野党の政治家たちに大量のお金をばらまいて、大量のOBを政府高官として送り込む。そうして、法律を自分たちの都合のいいようにねじ曲げていく。本来はチェックしなければならない機関までも、自分たちの思いのままになるようにねじ伏せてしてしまう。
リスクを隠し、それどころが薔薇色の未来があるように思わせるために、専門家である学者たちを買収し、自分たちに都合のいい論文や新聞記事を次々と書かせ、さらには、有力大学に次々と莫大なお金を投下して、味方につけていく。これに反対する勢力は猛烈な政治力でもって黙殺していく。
いつか破綻することがわかっている未来のリスクを、莫大な資金を使った嘘で隠しながら、地獄への道をどんどん突き進む。この姿が日本の「あるもの」に似てるなと思って、途中からは別のドキュメンタリーを見ているような気分になった。そんな時、画面に、衝撃的な文字が登場した。当時のとある論文の中にその言葉はあった。その筆者は、まもなく起こるだろう世界規模の金融破綻をこう表現した。
「financial meltdown」(金融メルトダウン)
2010年の作品だから、まったくの偶然である。
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