そっちじゃない方のクール
東京五輪が決定した。と、ネット上ではさっそく、大量の「おめでとう!」の声と、適量の「なんてことをするんだ?!」の声が、どっちも飛ぶ。それをきっかけに各所でバトルも始まった。
数としては決して多くないのかもしれないが、「おめでとう!」が「なんてことをするんだ?!」を罵り、同じように一部の「なんてことをするんだ?!」が「おめでとう!」を罵る。2011年のあの日、福島第一原発が事故を起こして以来続く、ネット上での対立の構造が東京五輪にも戦線拡大したようにも見える。
素直なことを言えば、どっちの意見も飛び出していいと思う。それが健全な民主主義だと思う。ただし、例によって、状況は「どっちの意見もあっていい!」というレベルでは収まらず、「どっちかの意見が絶滅するまで戦うぞ!」というレベルだったりする。
これが困る。
何が困ると言って、「どっちの意見もあっていい!」は健全な意見の対立を生むが、お互いに相手の意見を罵り始めると、最悪の結果が待っている。罵られると、どちらの陣営も、過激な意見をさらに先鋭化させることになる。
人間の心理として、罵られると、そこに怒りと猜疑心が生まれ、怨念へと発展する。その結果、どちらの陣営でも、過激な意見の人ほどさらに過激な方向へと走ることになる。さらに、やや中道寄りの意見の人までが過激な方向へと走る場合も。
相手陣営を罵ることは、相手陣営の過激派を増幅させることはあっても、相手陣営を縮小させることはない。こんなことになるのは、もしかしたら議論が苦手な日本人の国民性のせいかもしれない。
でも、もっともらしい顔で、そんな「原因解説」などしていても意味がない。なんにも始まらない。それどころか、現実に日々、相手を罵るような意見は出ていて、相手陣営の過激な人々をいたずらに先鋭化させている。
こんなこと、誰も望んじゃいない。そんな事態は、何としても避けたい。なので、出来るだけ冷静でいてくれたらいいな。それ以前に、自分も冷静でいたいと思う。とーっとても難しいけど。
最近は、なにかと言っちゃー、クール・ジャパン、クール・ジャパンと言ってるが、実は、「そっちじゃない方のクール」なジャパンでいられたらいいな。そう思う。つくづく思う。
※さて、そんなことを書いてアップしようとしたら、昨日、Twitterで鴻上さんが以下のブログへのリンクをRTしてた。東京五輪に関する意見だが、とても冷静な意見である。内容も、とても納得できる。実は、ここに出てくる公園は、僕と妻の大好きな場所だ。ここで撮った写真もこのブログにアップしているほどだ。でも、ブログにあるような事実は知らなかった。なので、もう一度ここにリンクしておく。
■25年かけて取り戻したもの、今、一瞬に(佐藤栄記の自然観察日記)
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