ヂロウ物語 その5
手術13日目、つまり手術からおおよそ2週間が過ぎて、ようやく患部にカサブタが芽生えつつあった!
※このシリーズ「ヂロウ物語」は、誰もが読んでて何かを得られたり、楽しめるという文章ではありません。でも、なかなか体験できない貴重な経験なので、いつか誰かの役に立つかも!と思って、ここに書かせて貰っている。さて、今回も、人によっては不快感を感じる人もいると思います。なので、気をつけて読んで下さい。それなりに気を遣って書いているつもりではありますが、すべての人が楽しめる内容とは限りません。これだけは先に言っておいます。
手術14日目。
ヂロウ日記2。ここ一両日、お尻の痛みに変化を感じた。久しぶりの診察で医師から「ようやくカサブタが出来てきましたね」と言われる。手術二週間でようやくカサブタの芽生え。でも、すぐに壊れてしまいそう。そんなゆっくりゆっくりとしか進めない、痔瘻手術の事後処理。戦いはまだまだ続く。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 5
この日は、週1回の検診。医師は笑顔で私に「伊藤さん、順調だよ。だから、薬を変えよう!これまでの、カサブタを作らないようにする薬はやめて、積極的にカサブタを作っていく薬にしよう!」と語り、新しい坐薬をくれた。こうして、相変わらず患部から大量の浸出液が溢れながらも、とうとう念願のカサブタ作りが始まった。
なお、この日の検診で医師から「来週は来なくていいから、再来週また来て」と言われた。手応えはないが、かなり順調なんだそう。私には、本当に手応えはない。
手術15日目。
ヂロウ日記。今朝、坐薬のゾンビに出会った。随分経ってからの突然の復活に、驚いたのなんの。もう一度、銀の銃弾を撃ち込んで、地の底に消えて貰った。…いったい、何の話だ?!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 6
久しぶりに坐薬でトチった。「坐薬のゾンビ」ってわかるだろうか?要するに、いったんは黄門様の奥に消えたはずの座薬様が、突然、変わり果てた姿で戻ってきたということだ。つまり、ゾンビ化した座薬様がビヨーンと戻ってきたのだ。こうなると、とにかく焦る。座薬初期には何度かやったミスだが、この頃はほとんど体験していなかった。本当に久しぶりの事故だった。
ヂロウ日記2。カサブタの赤ちゃんが育ちつつある。でも、場所が場所なので、日に何度も、誰にも聞こえないパキッという微かな音とともに、カサブタの赤ちゃんが割れる。小さく痛い。でも、これまでの痛みとは明らかに違う。未来に続く痛みのような気がする。でも、未来に続く痛みって何だろう?
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 6
そして、前日から坐薬を変えたせいだろうか、カサブタ作りがいよいよ本格化してきた。
手術16日目。
ヂロウ日記3。昨日から、坐薬が新シリーズになった。ちなみに、漢字表記は、坐薬でも座薬でもどっちでもいいらしい。「广」の立場はどうなる?
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 6
ま、どっちでもいい話だが…。
ヂロウ日記。カサブタの赤ちゃんを育てる。優しく優しく育てる。たまに傷ついても、優しく優しく育てる。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 7
当時の感覚として「カサブタの赤ちゃん」というのが、なかなかにリアルに感じられた。基本的に患部は自分で見ることが出来ないので、こんな風に感覚で感じるしかないのだ。
手術17日目。
ヂロウ日記2。帰宅。一日に何度も、ちょとしたきっかけでカサブタが割れる。パキッ。小さな小さな音とともに。さっきはクシャミが原因だった。まるで、戦国時代の合戦で、何度も出城を作っては、何度も壊されながら、少しづつ戦線を進めるように、ゆっくりと明るい未来を目指す。明るいお尻を目指す!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 7
「出城」という感覚も、この頃はリアルだった。わかってもらえるだろうか、出城?とくに、合戦中に、時間も準備もなく作る出城のイメージだ。羽柴秀吉が得意としたような仮設のお城のイメージだ。そんな訳だから、敵の攻撃を受けると、すぐに壊れちゃうんだけど。
気迫の収録が終了。毎回のことだが、何かを吸い取られるように疲れる。興奮しながら椅子に座っていたので、お尻がちょっとヒリヒリする。さて、〆切を上げないと!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 8
この日は、「Sing!Sing!Sing!」2ndシーズン決勝ラウンドの前半。鬼気迫るスタジオ収録に立ち会った。挑戦者たちの情熱に引きずられるように、収録中は痛みを忘れた。
手術18日目。
ヂロウ日記。完治したら、映画を思いきり見る!演劇を思いきり見る!激辛料理を思いきり食べる!長男とキャッチボールをする!双子の自転車練習の相手をする!歩幅を気にしないで歩く!何にも気にしないで座る!何にも気にしないでトイレに入る!何にも気にしないでお風呂に入る!自由にくしゃみ!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 9
この頃は、以上のように禁止項目が多かったので、とくに双子からキャッチボールやら自転車練習やらのリクエストを受けるたび、正直つらかった。
ヂロウ日記2。激痛はほぼ姿を消してきたが、色合いを変えつつも、痛みはなかなか消えてはくれない。それでもこの一両日、浸出液の量が劇的に減少してきた。ネット等で調べる限り、どうやら吉報のようだ。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 9
「浸出液」については、ネットで調べるとこんな風に書いてある。その透明で、ほんのりと甘い汁は、壊れた組織を復活させるための大切な液体なんだそうだ。最初に出会った時は「肉汁」かと思った。
手術19日目。
ヂロウ日記。浸出液が減り、痛みの質が明らかに変わってきたので、Wガーゼ時代からナプキン時代に移行してみた。お店で買う勇気はないので、妻に借りた。これが、なかなか調子いい。特製座布団なしで座ってもそれほど苦痛じゃない。さて?
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 10
「患部にガーゼを貼る」という作業が、意外とつらかったりする。まず、その作業そのものが大変。とくに自宅じゃない外のトイレで、小さな袋の中に入っているガーゼを引き出して、一枚はクシャクシャにしてボールのようなものを作って、それを、広げたもう一枚のガーゼの上に置いてから、患部にあてがう。最後にこのセットを、ガーゼ用テープで固定する。
以上の作業を、狭くて、時には薄汚かったりするトイレの個室の中でするのは本当に大変だ。何度も綺麗なガーゼを床に落としそうになった。さらに、トイレのたびにテープを何度も貼ったり剥がしたりすることで、黄門様周辺の柔らかい皮膚がどんどん荒れていく。赤くただれて痛くなっていく。新しいテープを貼る場所がないくらいに、周辺の皮膚がただれていく。
さらに、痛みがやってきた時にはお湯のシャワーを患部にかけて痛みを紛らわせることになるので、その結果として、ガーゼを交換することになる。また、浸出液が大量に出てきた場合もガーゼを交換することになる。初期には傷口からの出血も多かった。そのたびにガーゼを交換する。
これらの作業を一日に何度もするのは、本当に骨の折れる作業だった。
そんな訳で、この日私は、医師への相談もなく、ガーゼをやめて独断で「女性用ナプキン」を使うことを決断した。そこで、妻にお願いしてナプキンを分けて貰った。使い方も、教わった。知らないことだらけだった。
あまりにもナプキンがよく出来ているので、ナプキン考えた人すげーな!とさえ思った。
ヂロウ日記2。作家仲間の中野君から、郵便でお見舞いが届いた。ありがとう!!…でも、うちにレコードプレイヤーはないw pic.twitter.com/ayWBMwV1I2
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 10さすが中野君、素晴らしいプレゼントをくれた。
手術21日目。とうとう手術から3週間が過ぎた。
ヂロウ日記。手術20日目。どんどん回復傾向にあるように思う。とにかく早く回復して、双子からもリクエストが届いている「パパへのいきなりハグ禁止令」の解除を実現したい。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 11
あ、この頃からTwitter内の日付が1日だけズレている。ま、いいか。
手術22日目。
ヂロウ日記。昨日は夕方頃まで絶好調だったが、夕方頃から患部の調子がやや悪化した。まだまだ一進一退の日々。そんな中、女性用ナプキンの優秀さには毎日舌を巻いているが、残念なことに、ナプキンと男性用トランクスとの相性はあんまり良くない。これのためだけに、ブリーフ派に転向するのもなぁ。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 12
こんな風に、ナプキンが男性用トランクスに合わないと呟いたら…
昨夜のヂロウツイートへのパンツなアドバイスの数々、感謝!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 13
フォロワーさんからたくさんのアドバイスを貰った。本当にありがたかった。
手術24日目。
ヂロウ日記。手術から23日目。体調を崩してるせいか、一進一退が続く。昼過ぎまでは好調で、夕方頃から崩れる日々。ま、最後の戦いであろうと、踏ん張る。そんな中、坐薬の扱いだけは滅法うまくなってきた。そろそろ坐薬マスターの称号ぐらい貰えるかも。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 14
前日は2月14日、バレンタインだった。
この頃私は、たまたま体調を崩して下痢気味だった。そのため、もしかして痔瘻が再発してないだろうか?と不安にもなったりしていた。というのも、痔瘻は実は「下痢から始まる病気」である。なので、この頃の私は痔瘻の再発に脅えていた。
ヂロウ日記2。連日、大体この時間ぐらいになると、お尻が軽い悲鳴をあげる。お尻の悲鳴って何だよ?と思うかもしれないが、まだ独り立ちできないお尻なりの心の叫びだと思う。ま、この時間まで保ってただけでもエラいな、と思いつつ。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 15
この日は、家庭の用事もあって、ロングランで立ち続けていた。そのせいで、お尻がちょっぴり悲鳴をあげた。
手術25日目。
ヂロウ日記。朝のバス停送りの途中、なにげない仕草の中で、大事に大事に育ててきたカサブタにヒビが入った。軽く凹む。でも、もう一度!もう一度作り直せばいいだけの話!新しいカサブタを育てよう。楽しみながら!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 15
手術26日目。
昨日、お尻の症状がずいぶん回復してきたということで仕事の合間に映画館で、3週間ぶりぐらいに映画を見た。この一ヶ月ほど私のTLで大好評だった「百円の恋」。キャストとスタッフ、全員に拍手を送りたくなるような映画だった。本当に一生懸命、でも、丁寧に作られている。愛おしい!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 16
ずっと自分で禁じていた映画館に、本当に久しぶりに行った。
手術27日目。
ヂロウ日記。たぶん、順調なんだと思う。が、可動領域に作られたカサブタって奴は、合戦城の真ん中に作られた出城のように儚い。あっという間に作られる。が、あっという間に潰される。そう、カサブタ君は、ちょっとした理由でピシッと割れる。うん。だんだん強くなるんだ、きっと!…と祈ろう。
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 17
「出城」のイメージはかなり気に入っていたようだ。
観に行きたかったが、ヂロウ断念…RT @hayano: Reading:“宇宙人と戦う”新感覚歌舞伎 NHKニュース http://t.co/RXZaDTthTk 「宇宙人との戦いを描くという異色の歌舞伎が、東京・六本木で、今月上演されました…」
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 18
痔瘻のせいで行けなかった舞台は多い。とくに、特段のツテもなく、チケットを取るのが難しい舞台は、この時期ほとんど行けなかった。とても無念だった!
手術28日目。
ヂロウ日記。昨日は手術から26日目。「めちゃユル」の定例会議に出席したら、私の指定席の座席に、柔らかい柔らかい丸型クッションが用意されていた。ちょっと涙が出そうになった!
— 伊藤正宏 (@ito3com) 2015, 2月 18
この「丸型のクッション」には本当に感謝したい!ちゃんと私のTwitterを観ていてくれたらしく、よく見るドーナッツ型の痔用クッションじゃなく、ちゃんと痔瘻にも優しいタイプだった!
さて、手術の日から28日が経過していた。さらにまもなく、2週間ぶりに検診の日がやってくる。果たして医師は、手術以来一ヶ月の私のお尻に、いったいどんな診断を下すのだろう?
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