2015年のキングクリムゾン
前回、キングクリムゾンとの出会いについて書いた。とにかく最初にシビれたロックがこのバンドだったので、未だに特別なバンドであることには変わりがない。
そんなキングキリムゾンが先日、来日した。実は12年間にも来日しており、僕も新宿厚生年金ホールまで聴きに行っている。あの時もそれなりに感動したのだが、あの時は、ロバート・フリップがいなかった!今度はいる!それだけで興奮が違う。
しかも、今回はオーチャードホールだ。オーチャード音質でキングクリムゾンが聴ける。しかも、チケットは一階三列目!ロバート・フリップの法令線まで見える距離だ!!…と思って座席に座って、ある種の違和感を感じた。まさか!
さて、その違和感は開演と同時に確信に変わる。あまりに近すぎた悲劇が起きた。今回の座席は、メンバー7人のうち6人の顔が完璧に見える。が、一人だけ、リーダーなのに引っ込み思案の上手奥にいるロバート・フリップだけが、ビル・リーフリンのドラムシンバルのために見事に隠れていた。なんてこった!
それはとっても残念な偶然だったが、演奏が始まると、そんなことどうでも良くなった。まず、パット・マステロット、ビル・リーフリン、ギャヴィン・ハリソンのトリプルドラムの迫力が凄まじい。キングクリムゾンの精緻なスタイリッシュさに、このトリプルドラムのプリミティブさが加わって、何とも言えない迫力を産んでいた。
今年ヒットの映画で言うなら「キングスマン」と「マッドマックス」の合体とでも言うべきか、凄まじい迫力と華麗さによる現役感を感じた。その結果、古典曲じゃなくても楽しめる!面白い!相変わらず、ロバート・フリップの姿は見えないが、満足していた。
01. Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind)
02. Meltdown
03. Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind II)
04. Level Five
05. Peace - An End
アルバム「ポセイドンのめざめ」から「平和/終章」を、ジャッコ・ジャクスジクがオリジナルの日本語詞で歌い出すと、ここから怒濤の名曲2曲。「エピタフ」と「Red」!
06. Epitaph
07. Red
「エピタフ」は古くからのファンの期待に答えるように、オリジナルアレンジに近い。とにかく懐かしさに爆発しそうになった。今回のジャパンツアーでもめったに演奏しなかった名曲「Red」は、逆にトリプルドラムの魅力を活かすような、大胆な現代的アレンジ。これがまた迫力満点で素晴らしかった。
08. Pictures of a City
09. Hell Hounds of Krim
10. The ConstruKction of Light
11. A Scarcity of Miracles (Jakszyk, Fripp and Collins cover)
12. VROOOM
13. Banshee Legs Bell Hassle
アルバム「ポセイドンのめざめ」から「冷たい街の情景」が終わると、それほど古くない曲が続くが、トリプルドラムの魅力が爆発、とっても楽しい。惜しむらくは、相変わらず僕の席からロバート・フリップの姿が見えないことだ。たまに、楽器を買えたりしているらしいが、それすらちゃんと確認出来ない。
14. Easy Money
15. Sailor's Tale
16. Starless
クライマックスで再び、過去の名曲が次々と飛び出す。「太陽と戦慄」から「Easy Money」、「アイランズ」から「Sailor's Tale」、そして、「Red」から「Starless」。「Starless」はとくに痺れまくった。ファンの心を弄ぶようなイントロ前の長すぎるタメに続いてあの名曲が始まる。ほぼオリジナルの原型で突っ走る。
とくに僕の席は、前列に三つ並んだドラムのうち、パット・マステロットの真ん前だったので、彼が同曲の演奏中に鳴らしていた「不思議で小さな楽器群」の音が、確かにアルバムに入っていた音であることを思い出して、興奮しまくった。確かに、妙な音がいっぱい入ってたよな。そのすべてが正体を現した。
ちなみに、この演奏終わりで、トニー・レヴィンが場内の写真を撮るのを合図に、観客達も写真撮影が許されるという約束が開演前の場内放送で発表されていた。そこで、場内中が写メの嵐を降り注ぐが、そんな中、僕の席からはずっと見えなかったロバート・フリップが腕を精一杯伸ばして自撮りしているのが見えた。
---encore---
17. Devil Dogs of Tessellation Row
18. The Court of the Crimson King
19. 21st Century Schizoid Man
「Starless」終わりで、満員の場内、正確に言うと、ほとんどがオッサンたちが狂ったようにアンコールの拍手を鳴らすと、1曲を挟んで、名曲2曲の怒濤の攻撃が始まった。
「宮殿」と「精神異常者」、もちろん「宮殿」も良かったんだけど、とくにトリプルドラムとの相性は「精神異常者」の方が良かったように思う。そう、アンコール後の2曲は古典的なアレンジの良さとトリプルドラムの現代性とが絶妙に入り交じった構成だった。とくに曲の後半はそれらがますます冴えた。跳ねた。
こうして僕は、この夜のキングクリムゾンを、中学生時代に初めて聴いた日の興奮と同じくらいの感動とともに味わうことが出来た。
※セットリストはこのサイトで確認した。
※2015-2016年末年始の特番【12-01月分】
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